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アリストテレス

ソフィア・フロネーシスとは?

投稿日:2019年12月16日 更新日:

 

こんにちは、素人哲学者 ミルマノ(@_mirumano_)です

 

この記事では「ソフィア」「フロネーシス」という哲学用語を解説します。

 

この二つの言葉は、
アリストテレスという哲学者の『ニコマス倫理学』という
本で紹介されている概念です。

 

できる限り単純に解説していますので、
ぜひご覧ください!!

 

ソフィアとフロネーシスが生まれた経緯

 

まず最初にそもそもソフィアとフロネースシスという言葉が
なんのために生み出されたのか?
という部分について解説しておきます。

 

この言葉はアリストテレスという哲学者が
「人間とはどのすれば幸福になれるのか?」
という問題の答えるために使われました。

 

まずアリストテレスは「人間の幸福」について考えるために
「人間」という存在そのものに注目しました。

 

他のあらゆる動物・物体と人間との違い、
つまり、人間だけが持つ唯一の性質とは何でしょうか?

 

アリストテレスは「知性」であると考えました。

 

科学が発展した現代の考えでいくと、
「知性」は人間にしかないという考えは間違っているのかもしれません。

 

しかしアリストテレスにとっての「知性」というのは
同時に「理性」も含んでいます。
理性とは物事をロジカルに判断する力です。

 

人間以外の動物は生理的な欲求をロジカルな思考によって
抑え込むことができません。

 

そういう意味でも
「理性」という言葉を使えば、
この性質が人間にしかないことに納得がいくのではないでしょうか?

 

まずはじめにて、人間だけの性質を考えたアリストテレス。
次に彼が取り掛かったのはこんな問題です。

 

「知性」を持った人間が幸福に生きるためにはどうすればいいのか?

 

それに対するアリストテレスの答えはこうです。

 

「人間にしかない「知性」を高めることこそが人間の幸せである、」

 

これに対しては賛否両論どちらもありそうですね。
だって、自分だけの才能を伸ばすことが、
幸せに繋がるという考え方になりますもんね。

 

しかし、これに関しても納得できる部分は大いにあります。

 

例えば、自分が他の人にはないスポーツの才能を持っていたら、
その人はスポーツをしている時幸せなはずです。

 

ピアノの才能があるなら、ピアノを弾いている時、
幸せに感じるでしょう。

 

それを人間という大枠に置き換えると
「知性」を使うことになるのです。

 

では「知性」とは何か?
アリストテレスはこの知性を4種類に分けました。

 

その2種類がエピステーメー・ソフィア・フロネーシス・テクネーです。

 

ここからは、理解の難しいソフィアとフロネーシスに
フォーカスして解説していきます。
※エピステーメーとテクンネーについてはまた別の記事で解説します。

 

ソフィアとは?

 

ソフィアは日本語にすると「智慧」という漢字で表せます。

 

このソフィアというのは
「原因を知っている能力」
です。

 

アリストテレスにとっては「知る」という行為は、
それ自体の原因がわかっていなければ「知る」ということはできないのです

 

例えば、「風邪」という言葉を聞いたことがない人はいないでしょう。

 

しかしアリストテレス流に考えると、
なぜ風邪を引くかを知っていなければ
「風邪」を知っていることにはならないのです。

 

その原因を知っていることを「ソフィア」がある状態と認識します。

 

フロネーシスとは?

 

一方でフロネーシス(知慮)は同じ「知性」でも
「実践的な知性」
を表しています。

 

先ほどの「ソフィア」は知っていることそのものをさします。

 

しかし、ソフィアそのものだけでは意味がありません。
フロネーシスを持って判断する必要があります。

 

例えば、
どのような政治が素晴らしいかを淡々と語るコメンテーターに対して、
「お前がそれをやってみろよ」
と感じたことはないでしょうか?

 

これはコメンテーターにソフィアだけがあり、
フロネーシスがない良い例です。

 

あらゆる場面に置いて「知っている」だけでは物足りません。
知った上で「実践するにはどうすれば良いかを判断する」必要があります。

 

それを可能にするのが「フロネーシス」なのです。

ソフィア・フロネーシス生み出したアリストテレスとは?

 

ここまでは「ソフィア」と「フロネーシス」についてまとめてきました。

 

ここからはこの二つの哲学用語を生み出したアリストテレス
という哲学者がどんな人物だったのかを紹介します。

 

アリストテレスは、
「ギリシア哲学の黄金期」を創り出した3人のうちの1人です。

 

ちなみに残りの2人はソクラテスとプラトンです。

 

この3人の中でもアリストテレスは、
「学問を極めた男」です。

 

アリストテレスは哲学者として「真理」が何かを考えるとき、
この世の中のあらゆるものを研究しました。

 

例えば、アリには足が六本あり、これはカブトムシも同じ。
つまり、この二つの生き物は同じ分類に当たる…
みたいな感じです。

 

これは。当時の哲学者としてはかなり珍しいのです。
ソクラテスやプラトンは哲学にわりと抽象的な概念を使うことで、
真理を説明しようとしています。

 

しかし、アリストテレスは抽象的な概念を持ち出しつつも、
具体的な概念から「真理」にアプローチした、二刀流の哲学者です。

 

そのため「万学の祖」というようなあだ名がつき
「動物学」「分類学」などの基礎を作った人物だとされています。

 

アリストテレスの思想について気になる方は、
こちらの記事をどうぞ!!

 

 

ソフィア・フロネーシスのまとめ

 

いかがだったでしょうか?
最後に簡単にソフィアとフロネーシスをまとめておきます。

 

ソフィア
→原因を理解する知性
フロネーシス
→実践し判断する知性

 

以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございます。

-アリストテレス

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  1. […] 実用的な哲学ブログ2019.12.16ソフィア・フロネーシスとは?https://uteimatsu.com/sofia-phronesis/ こんにちは、ミルマノです。 この記事では「ソフィア」「フロネーシス」という哲学用語 […]

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