こんにちは、素人哲学者 みるまの(@_mirumano_)です。
この記事では、「質的」功利主義とは何?
という疑問に死ぬほどわかりやすくお答えします。
Contents
そもそも功利主義とは?
まず「質的」功利主義を解説する前に、
「功利主義」がなんなのかを簡単に解説しておきます。
功利主義とは、
社会・集団において、
幸福と快楽をいかにもたらすか、その度合いを最優先する思想
です。
要は、社会に必要なのものって何なの?という質問に
「社会に必要なのは正義よりも倫理よりも幸福でしょ!!」
と答える思想が功利主義です。
そして、
功利主義の創始者であるベンサムは
「最大多数の最大幸福」という理論を考え出し
「集団・社会における最大の幸福を求めるならば、
全ての人にまんべんなく幸福が行き渡る必要がある。」
という「量的」功利主義を重要視しました。
しかし、量的功利主義にはある致命的な欠陥がありました。。
その致命的欠陥を改善するために生み出されたのが、
「質的」功利主義です。
質的功利主義とは?
量的功利主義の致命的欠陥とは
個人間の幸福度の違いを反映することができないこと
です。
実は量的功利主義の方法では、
客観的視点で見た幸福度しか計算できないのです。
※量的功利主義の計算方法が気になる方は下の記事をご覧ください。
この部分に異論を唱えたのは
ジョン・スチュアート・ミルという哲学者でした。
彼ははベンサムの「量的功利主義」に対して、
「質的功利主義」を提唱します。
彼は人それぞれ違う幸福度を表すために
幸福を「身体的快楽」と「精神的快楽」に分類しました。
①質的功利主義の身体的快楽
身体的快楽とは、文字通り、身体を満たす上での快楽です
食欲・性欲・睡眠欲などですね。
これらの欲求は満たしても、
満たしても飽き足りることがありません。
そしてこういう欲求は、かなりコスパが悪い。
例えば食欲に関して考えてみます。
食欲を満たすために何か好きな物を食べれば、快楽が生まれます。
しかし、時間が経てば、またお腹がすいてきますし、
美味しいものを食べたいという欲求を満たせば満たすほど、
舌が肥えて、さらに美味しくて、高級なものが食べたくなります。
身体的快楽はコスパの悪い快楽という特徴がある、
ということを頭の片隅に置いておいてください。
②質的功利主義の精神的欲求
精神的欲求は、知識欲、達成感などです。
知識欲は満たしても食欲と同じように
時間がたつごとに、また出てくるといった単純なものではありません。
また身体的快楽と違うのは、
その知識を積み重ねることによって、
さらに高度な知識を得ることができます。
ミルはこういった点から「身体的快楽」よりも
「精神的欲求」の重要性をときました。
量的功利主義と質的功利主義の違い
ベンサムが考え出した量的功利主義は、
あらゆる種類の幸福を平等に扱った上で、
その幸福の大きさを考えました。
しかし、ミルの質的功利主義は幸福の種類に順位づけをして、
幸福の大きさを計算しています。
要はセックスから得られる幸福よりも、
知識を得たことによる幸福の方が価値が高く計算されるわけです。
質的功利主義の問題点
質的功利主義は、個人の幸福度の違いがないという問題点を補ったものでした。
しかし、質的功利主義も完璧ではなく、もちろん問題点が出てきます。
それは
「結局のところ幸福度を平等に判断できない」
という点です。
例えば、「食欲よりも知識欲が価値の高いもの」とい言いつつも、
本を買う余裕のない人からしたら知識欲を満たすことの
素晴らしさはわかりません。
こういった部分から質的功利主義もそれを経験をした人にしか
「幸福度」の判断ができない理論なのです。
質的功利主義=満足した豚より不満足な人間であれ理論
満足した豚であるより、不満足な人間である方がいい
これはミルの名言なのですが、
質的功利主義を上手く説明している言葉なので紹介しておきます。
質的功利主義のまとめ
最後に、簡単に質的功利主義をまとめておきたいと思います。
質的功利主義
→食欲よりも性欲よりも睡眠欲よりも知識欲が素晴らしい。本を読め!
以上になります。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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