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生得観念とは?【数学苦手はウソ!?】

投稿日:2020年1月12日 更新日:

こんにちは、素人哲学者 ミルマノ(@_mirumano_)です

この記事では、「生得観念」とは何か?
をわかりやすく解説していきたいと思います。

ちなみにこの生得観念という言葉ですが、
哲学者によって少しづつ意味も変わっきます。

その辺の微妙な違いも含めて出来るだけ簡単に説明していますので、
ぜひご覧ください!




生得観念とは?

「生得観念」とは
「人間が生まれながらにして持っている観念」
です。

ここで難しいのが「観念」という言葉ですね。

「観念」っていうのは
「あるものや現象に対する主観的な意識」です。

例えば「みかん」と聞いた時に
「オレンジ色で甘くてこたつで食べるやつ」と頭の中で思う人もいれば、
「緑がかった黄色で、すっぱいやつ」って考える人もいると思います。

主観的な意識は違いますが、
どちらも「みかん」と聞いて意識した内容です。

このような違いは「観念」の違いによっておこっています。

「生得観念」とは、
このように人によって違う「観念」もあるが、
生まれつき備わっていて全員が同じように持っている「観念」がある、
という考え方です。




生得概念を主張した代表哲学者

「生得観念はある!!」
といった哲学者のなかでも代表的なのが
「プラトン」「デカルト」「ライプニッツ」です。

この3人はそれぞれ「生まれつきの観念」がある!!
っていっているんですが、
その中身はそれぞれ違います。

ですので、
年齢順に3人の考えた「生得観念」を紹介していきたいと思います。

プラトンの生得観念

プラトンは紀元前に活躍したギリシア哲学者です。

彼の有名な思想で「イデア論」というのがあります。
この「イデア論」の考え方の土台になっているのが、
「生得観念がある!!」っていう思想です。

イデア論というのは
「あらゆるものの本質はイデア界(この世ではない別世界)にある」
という考え方です。

意味がわからないと思うので、少し例を出しておきます。

例えば、皆さんは「本物の直線」をみたことがあるでしょうか?

これに対する答えは全員「NO」でなければなりません。
なぜなら、現実世界で見ることのできる「直線」は
拡大していくと必ず「幅」を持ってしましまいます。

つまり、僕たちが普段目にしている「線」は
「本物の線」ではないのです。

ではなぜ僕たちは「線」がどんなものか知っているのか?

それは
「生まれる前にイデア界で本質を知るから」
というのがプラトンのイデア論です。

だから、「本物の直線」を見たことがなくても、
それに「似ている直線」を見ると、本質を思い出すんだそうです。

このような考え方を「想起説」といいます。

つまり、プラトンにとっての生得観念というのは、
「生まれる前に知った本質」
を意味しています。

デカルトの生得観念

続いて、デカルトが認めた「生得概念」です。

デカルトは16世紀に活躍した「近代哲学の祖」と呼ばれている哲学者です。

そんなデカルトが認めたのは
「数学的観念」と「神の観念」の二つです。

数学的観念ですが、これは簡単です

「1+1=2」
   ↑
これは世界のどこにいっても変わりません。
答えが5になる国はないはずです。

数学的観念は人によって違いが起きないのです。
だからこそ、数学的観念は生まれつきあるものだとデカルトは考えました。

続いては「神の観念」

これに関しては、僕自身も調べてみましたが、あまりわかりませんでした。

国によって神様に対する認識は違うはずですよね。
日本のような国では、それこそ顕著に神様に対する認識は変わります。

ただし、
デカルトは「方法序説」という本で「神の存在証明」をしています。

そこでは、論理的に神様がいることを証明しているのですが、
論理的に証明できる存在だからこそ、観念に違いが起こらない
→生得観念

というような考え方をしたのかもしれません。




ライプニッツの生得概念

ライプニッツはデカルトより少し後に活躍した哲学者です。

ライプニッツは「知性」に対して「生得観念」を認めました。

ちょっとイメージがつきにくいと思うので、
さっきのみかんの例をもう一度出します。

ある人は「オレンジ色で甘くてこたつで食べるやつ」
ある人は「緑がかった黄色で、すっぱいやつ」と感じていました。

「甘い」「酸っぱい」などだけを感じるならば、
「味覚」があれば十分ですよね。

でもみかんを言い表すには「オレンジ色」「こたつで食べるやつ」
などの感覚も足していかなければいけません。

つまり、味覚以外にも視覚や触覚が絡まっていることになります。

このように感覚を足し算できる能力をライプニッツは「知性」と考え、
この「知性」こそ人間が持っている「生得観念」だと考えました。

生得観念に対するロックの否定

ここまで、「生得観念がある!!」と考えた代表哲学者を紹介してきました。

このような「生得観念」を否定したのが
ションロックという哲学者です。

彼は「イギリス経験論の祖」と呼ばれる人物で、
先ほど紹介した、デカルトやライプニッツの思想とは対立する思想を
成立させた哲学者です。

ジョンロック は
「知覚経験をするまでの人間(生まれつきの赤ちゃん)
 は何も持っていない」
と考え、このような状態のことをタブラ・ラサ(白紙)の状態
であるとしました。

このタブラ・ラサというのが経験論を説明する上での核となる思想で、
この考えによって「イギリス経験論」が進んでいきます。




生得観念のまとめ

いかがでしたでしょうか?
理解していただけましたでしょうか?

最後に簡単に「生得観念」をまとめておきます。

プラトンの生得観念
→「本質」は生まれながらに知っている!!
デカルトの生得観念
→「数学的観念」と「神の観念」は生まれながらにして持っている!!
ライプニッツの生得観念
→「知性」は生まれながらにして持っている!!

ジョンロックの生得観念に対する否定
→生まれつきはタブラ・ラサ(白紙)の状態。上の3人は間違いです!!

以上になります。

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