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ミルグラム実験とは?【実験の手順をわかりやすく紹介】

投稿日:2019年6月6日 更新日:

 

こんにちは、素人哲学者 みるまの (@_mirumano_)です。

 

この記事では「ミルグラム実験」をわかりやすく解説します。
これは人間の心理状況を研究するための実験なのですが、
なかなかえげつないです。

 

「ちょっと怖いのは苦手」
ぐらいの人は知らない方がいいぐらいの実験です。

 

それでも大丈夫だという人は、
わかりやすく解説していますので、ぜひご覧ください

 

ミルグラム実験とは?

 

結論から言うとミルグラム実験とは、

「人間は閉鎖された空間にいると権力者の言うことを何でも聞いてしまう」
「人間は思考が停止するとどんな残虐な行為も犯してしまう」

このことを証明した実験となります。


ではどうやってこれを証明したのか?
その実験の手順を解説していきたいのですが、
その前にこの実験が行われた背景を紹介しておきます。

 

ミルグラム実験はなぜ行われたのか?

 

ミルグラム実験が行われたのはある人の言動が原因です。

 

アドルフ・アイヒマンという人を皆さんは知っているでしょうか?

 

彼ははナチス親衛隊の中佐でした。

 

ナチス親衛隊はヒトラーの部下だったと思ってもらえれば、
イメージがつきやすいかもしれません。

 

アドルフ・アイヒマンははユダヤ人大量虐殺、
ホロコーストに関わった人物でした。

 

皆さんもご存知の通り、ヒトラーが率いたドイツ軍は戦争に負けます。
そしてユダヤ人を大量に殺したアイヒマンは裁判で裁かれることになります。

 

この裁判でのアイヒマンの言動こそ
ミルグラム実験が行われた原因になります。

 

尋問中にアイヒマンは、
「私は命令に従っただけだ」
とさらっと言いのけたのです。

 

残虐な行為をする人は人を殺すことに対して
それほど気持ちの上下がないのかもしれません。

 

しかし心理学者と哲学者は少し違和感を感じたそうです。

 

というのも、裁判で尋問を受けるアイヒマンの姿は彼は
あまりに平凡だったからです。

 

そこである心理学者と哲学者の中にあるが考えが生まれます。

「アイヒマンは本当に残虐性を持った殺戮者なのだろうか?」

「アイヒマンは実際に命令されたことをやりきっただけであり、
 そこに対しての感情はない」

つまり、戦争中に大量殺戮しろという命令を受けたから、
アイヒマンはやっただけで、そこに実感が伴っていないのではないか?
と考えたわけです。

 

このアイヒマンの裁判がミルグラム実験をしてきっかけになります。

 

 

ミルグラム実験の具体例

 

では実験の手順の具体例を詳しく解説していきます。

 

まずこの実験に登場するのは3人(生徒役、先生役、被験者)です。
以下の画像の通り、先生役、と被験者は生徒役とは別室にいます。

  • まず被験者は4つのボタンを押す係をする
  • ボタンを押すと椅子に電流が流れる
    ※本当はどのボタンを押しても電流は流れないが、
    被験者には電流が流れると伝えている
  • ボタンはそれぞれ電流がだんだんと強くなるように設定されている。
    最後の4番目のボタンを押すと人間が死ぬレベルの電流が流れる

これが前提状況です。

 

【画像:ミルグラム実験

 

この中で、先生役は生徒に問題を出します。
もし解答が間違っていたら、先生が被験者に対して
電気椅子(生徒役が座っている)に電流を流すように命じます。

 

先生は解答を間違えるたびに、電流も強くするように命じます。

 

ちなみに被験者には生徒役は見えていません。
声だけが聞こえる状態で、生徒の発言については聞こえます。

 

もちろんこれは実験ですので実際に電流は流れません。

 

この状況で、先生はどんどん強い電流を流すことを命令し、
生徒役のうめき声はどんどん大きくなっていくような、芝居をします。

 

もちろん被験者は、自分のボタンを押すと電流が流れると言われているため、
間違いが増えるに連れてボタンを押すことを躊躇します。

 

その被験者に対して、先生は

「実験を続ける鍵はあなたにあります」
「絶対にこの実験を続けるべきです」

などの言葉を言って、ボタンを押すように仕向けます。

 

いくら命令されたからといって、
皆さんは人が死ぬレベルの電流スイッチを押しますか?

 

押しませんよね。
しかし、実際の結果はこうです。

 

60%以上の被験者が最後の電流スイッチ(人が死ぬレベル)のスイッチを押す

ミルグラム実験の結果からわかること

 

この実験でわかったことは2つです。

 

  • 人間は閉鎖された空間にいると権力者の言うことを何でも聞いてしまう
  • 人間は思考が停止するとどんな残虐な行為も犯してしまう

 

ボタンを押した人達は実際にかなり躊躇をして、
ボタンを押すまでにかなり時間をかけた人もいました。

 

しかし、最終的に先生から、
責任は先生側にあること、被験者に全く責任がないことを伝えると
ボタンを押したそうです。

 

権力者と思考停止という2点が、思わぬ行為を誘うことが
わかりますよね。

 

このことから、アイヒマンに残虐性が全くなかったことが
のワケもが証明されることになります。

 

ミルグラム実験に対する批判

 

どうだったでしょうか?

 

かなりえげつない実験ですが、
このような心理を証明したミルグラム実験はすごいですよね。

 

ただし、やっぱり、実験の内容が内容なので、
批判的な意見も多かったようです。

 

実験された人の中には人が死ぬほどの電流を流す行動を
とった人もいたわけです。

 

そういった人達の実験後の心理的なダメージはかなり大きかったはずです。

 

この実験は証明した内容から功績を認められていますが、
逆に実験に参加した人たちの気持ちを心理学者たちからは、
大きな批判を受けています。

 

ミルグラム実験のまとめ

 

では最後に簡単いミルグラム実験についてまとめておきたいと思います。

 

ミルグラム実験とは以下の二点を証明した実験です。

「人間は閉鎖された空間にいると権力者の言うことを何でも聞いてしまう」
「人間は思考が停止するとどんな残虐な行為も犯してしまう」

 

以上になります。

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